灼けるような恋の先。
どれくらい眠っていたのか。
目が覚めたら見慣れない病院だった。
「っ!菫は!!」
起き上がってそう叫ぶとそばにいたハルくんが驚いたように目を見張って口を開いた。
「隣の病室のベッドです。手術終えたのでまだ眠ってます」
「手術…?」
「流れたそうなのでその処置です。切ったとかではないみたいですよ」
「なが、れた…」
つまり子供が、ということだろう。
あれだけ暴力受ければそれもそうか…血を見て発作も起こしてたみたいだしな…。
「じゃああのサイコパス男は!」
「まだ眠ってます」
「そのまま一生眠ってろ」
「いやいや、それはダメですよ」
口ではそう言いつつ笑うハルくんはサイコパス男をなんだと思ってるんだか。
「とりあえず俺は菫の所にいく」
先生に診てもらわないとと止めるハルくんなんて振り切って俺は痛むからだを引き摺り隣の部屋のドアを開ける。
ドアを開けるとベッドに横になって眠る菫がいて一安心。
「菫、俺ずっと待ってるからな」
小さな手をぎゅっと握って、身体中にあるであろう痣をみて胸が苦しくなった。
ベッドの横の机にはしっかり灯から貰った指輪と灯の遺品である時計が置いてあって、どうして菫はこんなに辛い思いをしなきゃなんだって神をも恨みたくなる。