灼けるような恋の先。
「はぁ…なんかもうどうでもいいな…疲れた」
苦しそうに言葉を発する菫は携帯を見てさらにため息をついた。
その画面には樹という通話の文字。
「出なくていいのか?」
「出てどうしろって?
もう1度逃げたんだ、次会ったら生きて会えるとは思えない。もう2度と解放されない自由もないだろうな…」
「……だよなぁ」
戻りたいのか、戻りたくないのか全く分からない菫の感情にどう寄り添えばいいんだろうか…。
灯だったらきっと優しく寄り添うんだろうな…俺にはそんなん無理だ…。
「今日はもう寝る…ごめんな晄」
「謝んなって!
ゆっくり休めよー」
「ありがと」
携帯の電源を切って、自室に戻る菫を見届けて俺はため息を着いた。
菫を連れてきたはいいけど、これからどうしたらいいんだか…。
「灯どうしたらいいんだよー。」
あの日から洗って3人おそろいの飾ってあるパーカーを見ながらそう零して帰ってこない返事にまたため息を着く。
「ともくんは長生きなのになー…。」
あの時すくった金魚の3人は仲良く水槽で泳いでいて、今はそれすらも切なく感じた。
俺らはきっと戻ることなんてできないんだろうな…。なんて。