灼けるような恋の先。
「どこ行くんだよ!!」
「帰らないと!
樹は私がいなきゃダメだから…樹が人殺しにならないように私がちゃんとサンドバッグにならないと…」
カタカタと震えながら玄関に向かう菫の姿はあまりにも小さく感じて
こんな小さな体で色んなことを我慢して受け止めて乗り越えようとしすぎだよ…。
「私はお腹の子すら守れなかった奴だから…樹にちゃんと報告しないと…」
「もういいって菫」
「灯とは生涯寄り添えなかった…だから樹とはちゃんと…」
ポロポロと泣きながらそう言ってペタンとその場に座り込む菫。
だめだ、完全に壊れてしまってる。
「ちゃんと悪いことしたら殴られないとだめだ…私が悪いんだ…」
「菫落ち着いて、ほら薬は?」
「晄が殴ればいいんだ…!私を殴って痛めつけて…!じゃないと私が納得できない」
ガタガタともう何に怯えてるのか分からない菫に俺が首を横に振ると、またしてもカッターを腕に押し当てはじめる。
「菫!」
「ちゃんと罰がないと…」
「菫は何も悪くねぇって!」
どれだけ今まで責められて暴力を受けたんだろう。
どんだけされればこうなってしまうんだろう。
俺には到底想像すら出来なくて、でも辞めさせなきゃだし…。