灼けるような恋の先。
灯の部屋から、飾ってあった俺ら3人の写真や菫と灯のツーショ。
いつも着ていた制服にカバン。
つけていた爽やかな香りの香水。
とにかく思い出となるようなものを両手に抱えてまた玄関へと戻った。
「なんだ?何持ってきてんだよ」
「思い出せよ、灯は最期に自分を大切にって言ったんだろ!?
今の菫、大切にできてねーし大切にしてもらってねーじゃん!!」
灯に頼るのは良くないかもしれない、でももう俺にはこれしかねぇんだ。
菫を助けることが出来るのは灯しか居ねぇんだよ…!なんで死んだんだよ!!!
悔しい気持ちを噛み殺しながら、俺は灯のつけていた香水を玄関に振りまいて
灯と菫のツーショを菫の目の前に突きつける。
「これでもまだ灯の伝えたかったことが思い出せねーのか!?」
「……っ」
匂いは記憶を思い出すには凄くいい。
香水の匂いを嗅いだ菫は苦しそうに顔をゆがめて目に涙をうかべる。
その隙に俺は俺のケータイの中に入っていた動画を目の前で流す。
これは菫と灯が付き合ってるって知って拗ねた俺のところに来た灯と飯食いに行った時のものだ。
『えー、撮るのか?』
『おう、何かあった時のお前の弱みにしてやる!
ほら早く言えよ!菫の好きなとこ!』
『はは、それは困ったなー。
でもそうだね、最初は菫に押される感じで付き合ったけど
付き合ううちに普段クールな菫が甘えてきたりする所が可愛くてたまらなくなったんだ』
『ふぅー惚気けやがってー!』
『晄が言わせたんだろ?』
『まぁなー!
菫のこと幸せにしろよな?』
『当然だよ。仲のいい子と付き合う以上将来までの覚悟を決めてるからね』
『結婚まで?』
『ううん、死ぬまで』
『おぇーおもっ!』
『それくらいの覚悟だし気持ちだってこと』
『へぇー、惚気ごちそーさまでしたー』
『ははは!』