灼けるような恋の先。
最後に優しい笑顔の灯で終わった動画に俺ですら苦しくて戻りたくてたまらなくなった。
つまり、菫はもっと…ということで…。
「灯…」
ポロポロと大粒の涙をこぼす菫は不謹慎だが綺麗だ。
「灯……灯がいい…灯がいいよ」
菫はそう言うと膝から崩れ落ちて、灯の制服やカバンや写真を持ってうずくまって泣き始めた。
「灯…!私も連れてって…!戻ってきてよ灯!!」
皮肉にもここ玄関は灯の殺された場所。
灯!灯!と何度も呼んで泣く菫は初めてで、今までちゃんと高じて泣かなかったからここまで引き摺ってしまったんではないだろうか。
「菫、灯の最期の願いくらい叶えてやろうぜ?
一生一緒にいることは出来なかったけど、灯は最期に菫が自分を大切にすることを望んでたんだ。
だったらそんな男のとこにいちゃダメだろ…」
俺の言葉にサイコパス男が苛立ったように蹲る菫の背中を踏み付ける。
「おい!!さっさと帰るぞ!!」
「お前のとこには帰らさない!」
「クソが黙ってろ!!!」
菫の背中に置かれた足を振り払って睨む俺をサイコパス男は睨み返す。
俺はもう引かない。
灯なら幸せにしてくれると引いた高校生とは違う。
こいつは幸せにできない。なら俺が奪う。どんな手を使っても。