灼けるような恋の先。
晄と別れ、樹の家へと帰ると
樹は着いた途端私を蹴飛ばした。
「っ」
「別れねぇって言え!!」
「ううん、私は別れる」
「別れねぇって!!!!!!!」
怒鳴って何度も殴ってくるが、この痛みは樹の心を弄んだ罰としては軽すぎるくらいだ。
「樹、もう辞めよう、こういうの」
「こういうのってなんだよ」
「思い通りにならなかったら殴ったりするの」
「はぁ!?お前が悪いんだろ!」
「うん、今回のは私が悪い。
でも殴るのはダメ。」
どうせ別れるならちゃんとした人に少しでもなってもらいたいから。
一方的に切って捨てるなんてのはしない。
「お願い、樹の言うことなんでも聞くからして欲しいことやりたいこと全部聞いてからでもいい。別れて?」
たとえどんな代償を払ってでもこれは付けなくちゃいけないケジメだから。
私の強い決意は変わらないと言う想いを汲み取ったのか、樹は項垂れたようにソファーに座った。
「そんなに別れたいのかよ…そんなに俺じゃダメなのかよ…」
「ごめん」
「俺はこんなに愛してるのに…」
つらそうに紡がれる言葉に胸が痛くなる。
「何でもするんだよな?
じゃあ、結婚してくれよ。半年限定でいいからよ…俺は菫の初めてが欲しいんだよ」
「半年限定って…」
「半年したら絶対別れる。
バツは着くけど、俺は菫と結婚したんだって記憶があれば一生生きていけるからよ…」