灼けるような恋の先。
教室を出て廊下をしばらく歩いたところで『待って!』と後ろから引き止められた。
「庇ってくれてありがとう」
振り向くとさっきの4人のように頬を赤らめて笑う楓ちゃんが立っていた。
「庇ってはないよ」
「ううん、私は困ってたから入ってきてくれて嬉しかった」
「そう」
「やっぱり菫ちゃんはクールで優しくて美人で本当に素敵だなぁ」
うっとりと笑いながら私に近づいてくる楓ちゃん。
何故かそれが少しだけ怖くて、違和感が拭えない。
昨日会ったばっかなのに私のこと知ってるみたいに言うのなんなんだろう。
「私ね菫ちゃんみたいになりたくて整形したの」
「え?」
「菫ちゃんみたいな花も顎もおでこも頬も輪郭も唇も眉毛も二重幅も全てが羨ましくて憧れて整形したんだ!」
え、なにそれ。こわ。
と、思ったけど口には出さなかった私を褒めて欲しい。
「えっと、どっかであったことでもある?
私と楓ちゃん昨日が初めましてだよね?」
前にもあったことあるみたいな言い方が気になって問いかけると、楓ちゃんは私の手を掴んでにっこりと微笑んだ。
「うん!私が勝手に街中で見かけて、すっごく顔がタイプだったから色々勝手に調べただけだよ!
整形も菫ちゃんみたいな顔にって言ってしてもらったんだけど、やっぱり本物の菫ちゃんみたいにはなれなかった」
「は…?」
開いた口が塞がらない。とはこの事だろうか。
怖いとか気味が悪いとか通り越して理解ができない。
街で見かけて調べたとかそれストーカーでは?