灼けるような恋の先。
優しくて強くて穏やかで面白い。
そんな灯と付き合えて私の青春は幸せだった。
でもどれだけ願ってもこれから先一緒にいることは叶わないから、灯の分も目一杯楽しむんだ。
「菫ちゃんの彼氏さん、どうか菫ちゃんを幸せにしてあげてください。
突然みんなの前から消えてしまうほど苦しんで悲しんだ菫ちゃんだから、もう二度と悲しまないような…そんな幸せを与えてあげて?」
灯母は樹を見てそう言うと、樹は考え込むように俯いて口を開く。
「もう、悲しませて苦しませました。
取り返しのつかなことも沢山…」
「そうなの…。でも、苦しませたって自覚があるなら変われるわ。」
「……はい…」
「大丈夫、生きてれば何だってできるから!
3人とも取り返しのつかないことなんてないのよ、生きてればいつか笑い話にできる日がきっと来るわ。いや、笑い話にできる日を作るのよ」
ニコニコとしつつも芯はしっかりあるところも灯はお母さんに似たんだな。
なんてこんな時に私は思った。
でも、灯母の言葉は優しくて
実際にその通りだから胸にストンとはまった。
私達が頷くのを見て、頷き返してくれる灯母に
あ!と晄は声を上げる。
「せっかくなんで灯の幼少期の写真とか見ましょうよ!」
「あら、いいわね!待っててね、持ってくるわ」
晄の思いつきで幼少期の写真を見ることになった展開に笑いつつ、私の知らない灯を見ることになった。
遺品整理をして、お参りをしてよかった。
安らいだ心で私はそう思ったのだった。