灼けるような恋の先。
旅行
3人で遺品整理をした日から3ヶ月。
残す結婚生活も残り2ヶ月となりつつある。
「旅行行かねー?」
すっかり憑き物が落ちたように丸くなった樹との結婚生活は穏やかなもので
夜毎日寝る暇もないくらいセックスをして、昼も夜も働く少し心配な樹の生活は続いてた。
そして突然の提案に私は一瞬考えたあと、確かに思い出を作るにはいいかもな、と頷く。
灯の件で、素敵な思い出がどれだけ救われるか思い知ったことだし。
「いいよ。どこにいく?」
「隣の県の温泉が有名なとこ。
今日で旅館の予約取ってるから行こーぜ」
「え、取ってるの?」
「おう、善は急げだろ?」
そうだけどすごい準備。
なんて思いながら急いで荷物をバッグに詰める。
「美味いもん食って貸切なら風呂も入れるし早く行くぞー!」
「待って待って準備してるから」
「はーやーくー!」
休みの日の小学生みたいな急かし方に笑って私は急いで荷物を詰めて樹と手を繋いで家を出た。
温泉なんて刺青入れてから初かな?楽しみだなー。
貸切風呂なら大丈夫みたいだからね。