灼けるような恋の先。
私の心の声なんて気づいていない様子の楓ちゃんは興奮したように私の手を掴む力を強める。
「その涙ボクロと口元のホクロのセクシー二重ホクロとか憧れだし、涙袋の大きさとか声のトーン、歩き方も身長も性格も全部全部好きなの尊敬してるの!」
「えぇ…」
「次の整形では更に菫ちゃんに寄せようと思ってるよ!声だって変える手術する予定!
うち親が放任だからお金もくれるし手術も好きなようにさせてくれるんだ!」
「え、ちょっ、待って無理なんだけど」
流石の私も次々と出る衝撃の言葉に制止の声を掛けてしまった。
あまりの私への以上な執着が怖い。
「あっ!もっともっと菫ちゃんみたいになれたら、菫ちゃんと付き合いたいとも思ってる!
恋愛感情で菫ちゃんのこと大好きだから!もっと可愛くなったら付き合ってくれる?」
私の制止の声も虚しくとんでもない発言をする楓ちゃん。
どうしよう。
私がそう戸惑っていると突然ふんわりと、だけどしっかりとした腕で後ろから抱きしめられた。
その匂いがいつも一緒にいる匂いで顔を見なくても一瞬で助かったと安心する。