灼けるような恋の先。
「どうしよう…」
今回は自分が悪い。
別れると言ったのは私だから。
「菫!」
途方に暮れながら荷物をまとめに家に戻ろうとした私を呼ぶ声が聞こえてきた。
樹なわけないのに一瞬期待して振り返るとそこには何故か晄が立っている。
「晄…なんで」
「樹から今朝連絡があって、菫のこと頼むって」
なにそれ。
だったら急に居なくなったりしないでよ。
そんな私の気持ちがわかったのか、晄は優しく笑うと私の手を取る。
「帰ってこいよ菫。
心の整理は一緒につけようぜ?」
帰る場所を失った私はその言葉に少なからず救われた。
「ありがとう晄」
帰る場所がある。それだけでこんなにも心強いんだ。
私は樹に帰る場所を与えてあげられなかったな…。
そんなことを考えてまた気持ちが沈む。
別れるって決めたのは自分でその期限が少し早まっただけなのにこんなに落ち込んで
いつから私はこんなにわがままで、樹のことを手放すのが惜しいと思うようになっていたんだろう?
気づいた時にはもう遅いんだけど。ね。
ずっとそんなことを考えながら私は荷物をまとめて晄の、私たちの住んでいた家へと帰ったのだった。