灼けるような恋の先。
翌日
目が覚めた私は、ここが樹と住んでいた家じゃないことにやっぱり現実なんだと虚しい気持ちになった。
「おはよー」
「おはよ!朝飯あるけど食う?」
「うん、食べる」
晄は相変わらずで、昔と変わらぬ早起きさんなんだなぁ。
「どう?気持ちの整理はつきそうか?
てか、樹のこと好きだったんか?ほんとに」
ご飯を食べながらそんなことを聞いてくる晄。
好きだったのか、かぁ。
そう聞かれた私はそっと灯の写真を見て目を閉じる。
灯への感情は、一瞬で火がついたような、それまで友達だったのに急にどんと好きになって
灼けるような恋愛だった。
最初から最後まで大好きでたまらないくらい。
でも、樹は最初はそうでも無いし何となく付き合ったけど
だんだんとかけがえのない、そこに居ないと物足りないような存在で愛おしいと思うようになったんだ。
だからこれは間違いなく恋だった。
「好きだったよ。いや、今も好きだよ」
胸を張って言える。
私は樹のことが好きだと。
そんなの今更思ったところでどうしようもないんだけど。
「そっか。」
「うん」
熱烈な恋愛じゃなかったけど好きだった。
どうして別れるなんて結論出したんだろう私。