灼けるような恋の先。
あまりの楓ちゃんの気迫に怖くて、灯の後ろに隠れてしがみつく。
「ごめんね、菫は俺の彼女だし菫は今まで付き合った彼女とは違ってこれからも手放す気ないから諦めて」
灯はいつもと変わらない声のトーンで優しく、顔には笑顔を浮かべて言った。
その言葉が不覚にも胸に刺さって心臓が高鳴るのがわかる。
これは、まずい。
吊り橋効果的なやつなのかわからないけど、とにかくこれはまずいことだけはわかる。
このままではガチで灯のことを好きになってしまう。
そんな私の動揺とは裏腹に灯はいつもの胡散臭い笑顔だし…。
「菫ちゃん!!そんな男やめようよ!」
楓ちゃんがそう叫んで1歩前に出た瞬間、楓ちゃんが後ろにバタンと尻もちを着いた。
「邪魔」
尻もちを着いた楓ちゃんの後ろから現れたのは晄。
楓ちゃんの首根っこを掴んで後ろに引っ張った反動で尻もちを着いたのだろう。
そのまま晄は楓ちゃんに目もくれず私たちの元に歩みよってきた。
「お前ら俺が教室戻ったらいねーんだもん探したぞ!」
「あぁ、悪かった。俺が職員室から戻ったら菫と楓ちゃんが何か揉めてたみたいだったから」
「ふぅん、うっざいね〜この女」
晄と灯のそんな言葉を聞いていると、灯にしがみついていた私を晄も手を握ってくれた。