灼けるような恋の先。
「よっし帰ろーぜ」
晄はそう言うと私と灯の手を引いて先頭切って歩き出す。
「ちょっと、まっ!」
歩き出す私たちに楓ちゃんが声をかけようとしたところで、灯が楓ちゃんを振り返って
私と自分を交互に指さして、鼻のところに指を持っていき内緒ポーズをした。
それが本当に晄に内緒で付き合ってるみたいに見えて凄いと思う私と
それ以降何も言えないように俯いた楓ちゃん。
私はそんな何気ない灯の仕草でさえ今までだったら胡散臭いなぁとか思ってたのに、そんな姿も似合うとか思っちゃうんだからこれはもう引き返せなさそうだわ。
「なーなー、今日なんか食って帰ろーぜ!!」
「いいね、作るの面倒だしね」
「いいよー」
私の動揺なんて知らない晄の言葉や態度に安堵しつつ、何食べようかなぁなんて考えを変えた。
ずっと友達で異性として見てなかったのに、突然こんなことになるなんて思ってなかったから困ったもんだなぁなんて。