灼けるような恋の先。
「なんだよ、童貞じゃあるまいしキスのひとつやふたつくらいいいだろ?」
散々灯の恋愛は見てきたししってる。
優しくて面倒見のいいモテモテ灯は付き合った女をメンヘラ化させてしまうメンヘラ製造機のくせに
メンヘラ化したらポイするってのも知ってる。
彼女とヤッたことあるのも知ってる。だからキスくらいいいだろ。
そんな私の言葉に困ったように笑う灯がなんだかムカついて、私は自分から灯の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
瞬間に合わさる灯の唇と私の唇。
私だって彼氏とそれなりのことはしてきたしキスなんて初めてではないけど
何故かこの灯とのキスは今までしてきたどんなキスより緊張した。
「こら、付き合ってない男と2人きりでこんなことするもんじゃないよ菫」
キスしたってのに動揺した様子もなくそう言って私の頭をコツンと軽く小突く灯。
それがやっぱり無性に腹が立つ。
思えば私は自分から人を好きになったことなんて無くて灯が初めてで、それなのに灯が動揺しないのが悔しいんだろう。
「爽やかな顔崩してやるよ」
少しでも動揺して意識して欲しくて私はそう言ってまた唇を合わせた。
次は舌をも絡ませる。