灼けるような恋の先。
「楓ちゃん転校してきてすぐの割にいい噂聞かないし、3人のファンの人たちも警戒してるみたいだから気になっちゃって」
「私も警戒はしてるよ」
それより3人のファンってなんだ。
なんて言葉は聞いたところで在り来りな言葉しか帰って来なさそうなのでやめた。
「噂ってどんなのがあるの?」
普段人の噂なんて気にならないけど、今回は事情が違うしな、と燈ちゃんに声をかけたところでガラッと教室のドアが空いた。
「お待たせ菫ちゃん!行こ〜!!」
「あぁ、うん」
そう、入ってきたのは化粧直しを終えた楓ちゃん。
私と燈ちゃんは顔を見合わせて何も言わずに私は楓ちゃんの方へと向かう。
楓ちゃんの隣に立つと楓ちゃんはにっこりと笑って私の耳元で言葉を発した。
「私以外の女の子と話したらダメだよ?私何しちゃうかわかんないよっ!」
と。
面倒なのに目をつけられたなぁ。面倒すぎる。
こういうのをメンヘラ女って言うのか?違うのか?
いずれにしても面倒なのは確実。
「いこ〜!」
情緒の安定しない楓ちゃんはニコニコと私の手を握って歩き出した。
私はもうその手を振り払うのも面倒だから黙って着いていくことにしたのだった。