灼けるような恋の先。
「私は好きな人とでないとシたくないから」
こういう行為は好きな人じゃないと意味ないし、気持ちも良くないし。
そんな私の言葉に楓ちゃんはショックを受けた顔で俯く。
「ひどい、私はただ菫ちゃんと両片想いになりたいだけなのに」
「酷いはこっちのセリフだ。
こんなとこ連れてきて人のデリケート部分触っておいてよくいうよ」
「……」
まだ灯にも触られたことないところを全く。
そう考えたらイラついてきて私は楓ちゃんを振り払って立ち上がった。
「じゃあ帰る」
イライラと、モヤモヤと胸の中で感情がざわめきながらスンスンと泣く楓ちゃんをおいてラブホテルの部屋を出る。
別に触られたからってムカつく柄じゃないし初めてでもないのに、灯にもまだ触れられたことの無いところを別に仲良くもない女に触られたと思うとなんだかムカついたんだ。
灯のことを思うと胸の奥が灼けるような感覚になる。
人に対してそんな気持ちになるのは初めてで、だから少し戸惑うけど、何がそんなに灯のどこが好きかなんて聞かれたら答えられないかもしれない。
それでも私は灯に今までにない恋愛感情を抱いているんだもん。
灯になら私の全て捧げてもいいんだ。
そんなことを考えてらしくないななんて思いつつ帰り道を急いだ。