灼けるような恋の先。
灯と菫の絆
私達が高校2年になって数ヶ月。
夏休みの中盤。
今日は近くの神社で祭りがあるから毎年の如く3人で来ている。
晄も灯の説得の後からは普通で、時々彼女を作っては別れてを繰り返してるらしい。
「菫は浴衣が似合うね」
「ありがと」
「うげー、前から思ってたけど灯普通に女に似合うとか可愛いとか言うよなー無理だわー」
3人とも浴衣を着て歩きながら話す私と灯の会話に入ってきてはげーっと舌を出して呆れた顔をする晄。
「思ったことを言ってるだけだからね。
晄も女の子にはちゃんと言葉にして伝えた方がいいよ」
「無理だわー、思ってても普通言わねぇーっつーの」
「でも言われた方が嬉しいだろう?」
「だとしても無理」
「はは、晄はまだお子様だな」
「はぁ!?やんのかコラ!」
否定されても怒らなくて笑う灯に喧嘩をふっかける晄だけど今回は喧嘩に乗らずに笑うだけの灯。
付き合ってからというもの、灯のこういうふと見せる大人の対応がたまらなくドキドキしたりするんだよね。
「なぁ金魚取ろうぜ!」
「ええ、晄面倒見ないだろ絶対」
「いいじゃん!お前らが面倒見るじゃん」
「そんな人任せな…って、あぁ〜」
灯の忠告も聞かず晄は既に金魚すくいのセットを持っていて頭を抱える灯。
「あいつ我慢できない子供じゃん」
「ほんとだよ。でも子供が出来たらこんな感じかもね?」
「えっあ、あぁ」
私を見ながらそんなことを言うから普通に照れてしまった。
それと同時に灯と灯の子供との生活を想像して確かにこんな感じになりそうだな、なんて。