灼けるような恋の先。
なんてことするんだ。
そんな気持ちででも抵抗も面倒でやめていると、突然後ろから「菫!」という聞きなれた声が聞こえてきた。
「菫!無事か!!よかった!!」
「灯…。それに晄も…」
「おいクソ女そこどけや」
灯と晄は走って私の元に来て、晄は私から楓ちゃんを引き剥がしてくれる。
灯はそっと上着を私着せたあと、優しく抱きしめてくれた。
これが楓ちゃんにされてもなんとも思わなかったのに、灯にされると暖かくてすごく安心するんだもん。すごいな、灯は。
「怖かっただろ、ごめん1人にして」
「ううん、私がひとりで御手洗行くって言ったし、こうして助けに来てくれたからいいよ。ありがとう」
「もう安心して大丈夫だから。」
そんなに心配しなくても灯に会えたから別にもういいのに。
そんな思い出抱きしめ返すとそのまま抱っこされる。
「ここにいるってさっき連絡あったんだ、楓ちゃんから。
夜通し探してもどこにも居なくて警察行こうとしてたからよかった…本当に心配したよ。」
「はは、過保護だな」
「菫のことが大切だからね」
「ありがと」
優しくて暖かくて落ち着く。
そんな人の言葉を浴びてさっきまで浴びせられた汚い言葉は私の中から消えていった。
「帰ろう、菫」
「うん」
「イチャイチャしてんなよなー!ほらさっさと行くぞ!風邪ひくなよ!」
私と灯の会話に入ってきてそう言う晄にもお礼を言って、洋服を着せてもらって灯に抱えられたまま家へと帰ったのだった。
無事帰れてよかったな。