灼けるような恋の先。
【菫side】
灯に抱き抱えられて安心したのか、眠りについた私が目覚めたのは完全に日が暮れてからだった。
「ん…?」
ぼやぼやと起こったことが夢じゃないんだと思い返して横を見ると、床に灯と晄が眠っていた。
「わざわざそばで寝てくれたのか」
優しい2人だな。
2人の優しさに触れればもう昨日や今朝のことはもうどうでも良くなっていた。
「あ、薬飲んどこ」
時間も大丈夫だし忘れずに飲んでおこう。
背中の傷や手のひらの傷も2人が消毒してガーゼを貼ってくれていて
体のベタベタも拭いてくれたのかマシになっていた。
「至れり尽くせりだな」
暖かい気持ちでとにかく風呂を沸かそうと沸かしている間に薬とご飯を食べる。
「菫、起きたの?」
2人を起こさないように静かにキッチンで食べてたけど、起こしてしまったようで灯が眠そうに目を擦りながら私の隣に立つ。
「起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫。
お風呂入るの?」
「うん。汚いし」
「汚されたもんね。菫自身は綺麗だよ」
「また、そんなこと言う」
恥ずかしくないのか。
と思いつつも照れてしまうし、その一言で救われるのも事実。
「一緒入ろうか」
「ん」
一緒にお風呂とか恥ずかしいけど、何となく灯と一緒にいたくて頷いた私の頭を撫でてお風呂の準備を始める灯。
今私に灯が居なかったら、こうして普通でいられたのかな?