灼けるような恋の先。
お風呂に入り、体を洗う時に傷に染みて思わず身震いしてしまった。
「った…」
「しみる?」
「ん」
「傷、深くないとは言ってもパックリはいってるから病院明日行った方がいいよ」
心配そうにそう言ってくれる灯だけど、私は首を横に振る。
「いい。なんでこんなことになったとか警察が出てきたりとかしたら面倒だし。
あんなはずかしめ受けたのが他の人にバレるとか無理。」
自分の体がどうにかなる分にはいい。
でも、私のせいで家族や灯や晄まで好奇の目に晒されるのは嫌だから。
私の言葉に灯は困ったように眉を八の字に曲げてそれ以上は何も言わなかった。
「お風呂上がったらまた消毒しておこうね。」
「うん」
優しい灯は痛みに顔を歪ませながら洗い終わって湯船に浸かる私を抱きしめてくれる。
直で触れる灯の肌は暖かくて安心する。
嫌なことも全て忘れられる。
「灯が嫌じゃなかったら今日抱いて欲しい。
散々他の男に遊ばれたけど」
肌を触れて思ったままのことを伝えると灯は少し驚いたように目を見張ったあと
いつも通り優しい顔に戻った。
「嫌なわけないよ。
菫の負担じゃないならしようか」
「うん」
そんな優しい言葉の後に触れるだけの口付けをして、私と灯はお風呂から上がる。