灼けるような恋の先。

その日の夜



自由行動から帰ってきた灯と晄がバタバタと女子部屋に入ってきた。






「菫！なんでお前が帰らねぇとなんだよ！」



「そうだ、菫はわるくないだろう？」



「俺センセーに言ってきてやる！！」






部屋に入るなり怒鳴る晄と怒りを滲ませる灯に笑氏は思わず笑みがこぼれる。






「いいだろ別に。
また今度冬休みにでもどっか3人で旅行行って思い出作ればいいだろ？」






2人の肩をポンポンと叩いてそう言うと、灯も晄も正気に戻ってくれる。



やっぱり2人はどんなときも味方でいてくれるから心強いわ。






「先帰って金魚に餌でもやっとくよ。
土産買ってこいよな〜」



「あぁ、頼んだよ。」



「3人で旅行行き直し！！絶対だかんな！！」






もう空港に行く時間も迫ってきてるし女子部屋のみんなが帰ってこないうちに出ようと荷物を持って部屋を後にする。




こんな修学旅行だけど記憶に残るし案外思い出だな。なんて。






「菫、守ってやれなくてごめんね」






背を向けて歩き出す私を後ろから突然抱きしめて耳元でそう言う灯は落ち込んでいるようだった。






「いいって。
楽しんで来いよ？」



「ありがとう、大好きだよ菫」






突然そんな甘い言葉を言って私にキスをする灯に私は胸が高鳴る。



晄のいる前でこんなことするなんて珍しいな。






「じゃあなー」






私が気にした素振りを見せたら絶対に2人も気にしちゃうから。



だから私はなんでもないようにそう言い残して後ろも振り向かず付き添いの先生と共に空港へと向かった。