灼けるような恋の先。
くすくす笑いながらパーカーを広げる灯。
その柄は大きな金魚が1匹背中にプリントされてて、色黒灰色の3色だった。
絶妙にダサいセンスに思わず私も笑ってしまう。
「3人ともお揃いかうとか凄くね?奇跡じゃん!
やっぱ俺ら運命で繋がってんだな!」
そう言って笑う晄に確かにここまで示し合わせたかのようにおそろい買うなんて運命なのかもな。なんて。
灯は笑いながら白のパーカーを私に。
黒を自分に、灰色を晄に渡すと
早速ダサいパーカーを着た。
「着心地はいいね」
「はは!似合わねぇ!ウケる!強面に黒のパーカーで後ろにでかいプリントとかヤンキーみてぇ!」
「そう言う晄もチンピラみたいだよ」
「はぁ?俺は何着てもイケメンだかんなー!」
「いや待って何気に菫が一番似合ってない?」
「えー、マジ勘弁」
3人でパーカーを着て笑い合う。
こんなダサパーカー家の中でしか着れないわ。とか思うけど嬉しいけど。
「あ、菫には特別にプレゼントあるんだ」
ダサパーカーに身を包んだ灯はそう言うとポケットから小さな箱を取り出した。
「いつかもっと高いやつ着けてあげられるよう頑張るよ」
そう言って私の左薬指に指輪をはめた。