灼けるような恋の先。
「なんでお前が来てんだよきしょ!早く帰れ!
……あ?菫?菫なら灯のベッドでイチャコラしたまままだ出てこねぇよ!
……はぁ?なんでお前なんかに合わせなきゃなんねーんだよ帰れ!」
そう、チャイム越しに怒鳴る晄に相手が仲良くない人物なのだろうとは想像がつく。
「誰だろ?」
「菫に用事みたいだね?
はい、パーカーも着て寒いから温かくしてね」
ムクリと起き上がる私にそばに置いていた昨日のダサパーカーを着せてきた。
もちろん灯も色違いを着る。
しっかり服を着た私と灯が揃って部屋から出ると晄が何か言いたげな顔でこちらを見た。
「こいつどーする?」
「「ん?」」
インターホンを指さして嫌そうな顔をする晄に2人で画面をのぞき込むとそこには楓ちゃんが写っていた。
なんで楓ちゃんが?
ていうかせっかく謹慎で関わらなくていられてるのにあんまり会いたくないなぁ。なんて失礼か。
「なんの用事なの?」
「さぁ?とにかく菫に話し合っから菫だってうるせーんだよ」
灯の言葉にそう返す晄はちらっと私を見て頭を搔く。
「俺らも一緒にいるから要件だけ聞く?
じゃねーとこいつ帰らねぇよ」
「うん、楓ちゃんしつこいからね。面倒だけど話すしかないでしょ」
「そうだね、変なこととかされないよう俺と晄がそばに居るからね」
優しくそう頭を撫でてくれる灯に笑い返して3人一緒に玄関のドアを開けた。
その間灯が、ずっと隣で手を繋い出くれているのが心強い。