灼けるような恋の先。
なに?何が起きたの?
状況が理解できない私とは反対に晄がバタバタと駆け寄って楓ちゃんに飛び蹴りをしたのが見える。
「灯…?」
私に覆いかぶさったまま動かない灯の背中に手を回すと、なにやら濡れる感覚がして自分の手を見ると
私の手に着いている液体は赤かった。
「……なにこれ…」
意味がわからない、理解ができない。
理解をしたくない。
私がモゾモゾと動いて灯の下から抜け出すと、やはりそこには背中から血を流すともがいた。
灯は痛そうに顔を歪ませている。
「灯、しっかり!!」
「菫は無事…?」
「うん、何も無いよありがとう。
救急車呼ぶから」
痛そうだけどなんとか話せる様子の灯にそう言って私はスマホで救急車を呼ぶ。
その間もずっと晄と楓ちゃんは揉み合っていて、楓ちゃんをよく見ると手には血の着いた包丁を握っていた。
あれで灯を…。
「あれぇ、本当は菫ちゃん殺して永久に私のものにするつもりだったのに。
じゃあいいよ、菫ちゃんの大事なもの、貰っちゃおう〜!」
あはは!と笑うと揉み合っている晄の隙をついて腕を切りつけた。
「ってぇな!!」
切られた腕を抑えながら声を上げる晄のお腹を刺したあと崩れ落ちる晄には目もくれず
私と灯の元にやってくる。
「やめて、なんでこんなこと!!おかしいよ楓ちゃん!!」
「だってもうどうでもいいもん。
菫ちゃんが私のものにならないならせめて菫ちゃんの記憶に残りたい」
狂ってる。
前から狂い気味だったけど更に狂ってる。