灼けるような恋の先。
4章
全て捨てた自分
「…はぁ、最悪な夢見だわ」
朝日の差し込む部屋で、昔の夢を見て汗だくになって私は起きた。
灯が亡くなってから5年。
私は22歳になっていた。
「すーみーれー、随分うなされてたけど大丈夫かー?」
「あー、うん、平気。薬飲んどくわ」
「なー、ヤろうぜ」
「はぁ、わかったよ」
ヘラヘラと笑う裸の男は水無月 樹(みなづき いつき)。
私の3つ上の一応付き合って5年の彼氏だ。
灯の死を受け入れられなかった私は誰にも言わず学校をやめて家を出たあと、行くあてもなくフラフラと歩いて
その辺のネカフェで泊まったり、ラブホに一人で泊まったりして過ごした。
そんな生活を1ヶ月くらいつづけてたらたまたま立ち寄った隣の県の身分確認のなかったクラブで樹に出会って、一目惚れされてどうでもいい私は付き合った。
金もないし住む所もない私と付き合う条件として一緒に住んでくれて、金は樹の好きなようにさせたら貰えるってことになっている。
これがまぁ樹は悪い男でめちゃくちゃ私に惚れてるらしいが、私を別の男に抱かせたりそれを見て喜んだと思ったら相手の男を半殺しにするほど殴ったり無茶苦茶な男だったのだ。
んで、ずるずると私も抵抗することなく付き合い続けてるってわけ。
灯のいない世界なんてどうでもいいからいいけど。