灼けるような恋の先。
その日の夜
とりあえず経営してるクラブに顔を出して今日も問題は無いことを確認して樹の元に向かおうとした瞬間
見知った女の子を見かけて私は思わず立ち止まってしまった。
「…燈ちゃんなんでここに」
そう、クラブなんて縁遠いようなタイプの燈ちゃんがいたのだ。
あまりの驚きに言葉が漏れると、燈ちゃんは私の顔を見て驚いた顔をした。
「菫ちゃん!?
びっくりしたよ!雰囲気変わったね?」
雰囲気、そりゃ5年も経てば変わるだろう。
ボブだった髪も伸ばして巻いたりひと房カラー入れたりしてるし。
樹の仕事の都合上弱く見られたら良くないから肩に樹と対になるそんなに大きくはない刺青も入れられた。
これはまぁ樹のマーキングみたいなものだから入れてた方が安全なんだよね。
タバコもお酒もやってるし。
「ビックリはこっちだよ、燈ちゃんはこんなとこ来るような人じゃないだろ。
なんでここに来てるんだよ」
オタクで現実世界の男なんて興味のない燈ちゃんがクラブなんてそんな。
しかもここのクラブは治安悪くて有名だし、下手したらそれこそ風俗に紹介されたり、ホストにの貢ぎに使われたりするのに。
燈ちゃんは高校の当時明るく優しく接してくれた人だからこんな闇な世界とは関わって欲しくない。
「帰りな、今すぐ。」
「私も興味なかったんだけど、友達の付き添いでホストに行った時に今度はここに来ようってなって来たの。
でも友達とはぐれちゃって」