灼けるような恋の先。
「いくら樹さんの彼女だからって仕事の邪魔されるのは困るんだよなぁ」
「女1人居ないくらいいいだろ」
「その女にもう既に使命が入ってたんだよ!どうしてくれんだ!」
「じゃあその穴埋めくらいはする」
小汚い男がギャーギャー騒ぐのがウザくてそう言うと、そいつはニヤリと笑ったあと私の肩に腕を回した。
「いーのかー?あんた樹さんが選んで仕事させてっから顔のいいハードじゃねぇ男相手しかした事ねーだろ?」
「だからなんだよ」
「今日の予約のはこの辺の店の常連客だけどまじ汚くて臭いしハードだぞ?本番だってやるしなー。樹さんの女がそんなんできるのか?」
何言ってんだこいつ。
私をなんだと思ってんだ。
「舐めんな、私は5年前全部捨ててここにいるんだ。自分の身体も何もどうだっていいんだ。
その辺のギャーギャー言うやつらと一緒にするな」
そう、家を出た日に全部捨てた。
灯のいない世界に未練もない。
そもそも知らない奴らにヤられたってそれ自体はどうでもよかったし。
私の言葉に怖気付いた様子の小汚い男は私の背中を突飛ばす。
「どーなっても知らねーからな」
確かに私は樹のおかげで汚い仕事は少ない。
基本手伝えと言われた時に綺麗な男とヤるくらい。
他は樹の代わりにクラブの見回り。
対象者の目星をつけるとかそんなとこ。
だからって樹がいないとダメだなんて思われたくなくて、事実そうじゃないし。
私は小汚い男の指定したホテルへと向かった。