死にたがり屋は恋に堕ちる
 興味津々な態度で聞いてくるモカに、私は昨日の出来事を話すことにした。

「……ってわけで、今も死神が私の部屋にいるんだ~」

 一切合切を話し終わると、モカは顔が青ざめていく。

「ありえないよ……、死神なんて……」
「そ、そうだよね、信じられないよね、でも、本当に――」
「最近この近くで下着を盗まれる被害が多発してるらしいの。二階のベランダに干してる下着でも盗まれてるんだって。もしかしてその人、死神じゃなくて泥棒じゃ……」

 あの死神が下着泥棒?
 そんな訳ない、と否定しかけて私は口を噤んだ。

 死神が下着泥棒であってほしくないと思うなんて、どうしてだろう。
 そうか、私、死神のこと――。

「確認しに帰る!」

 一刻も早く帰りたいと思い、私は椅子から立ち上がる。

「ちょっと楓! 部活は?」
「悪いけど、今日は休むって顧問の先生に言っておいて!」

 私は教室を飛び出し走り出した。



 学校から帰宅すると、家中しんと静かだった。
 誰もいないのかなと思いながら私は、自分の部屋のドアを開ける。
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