死にたがり屋は恋に堕ちる
「どーせ、くだらないことで悩んでると思ってるんでしょ! 家族にも散々、『この世にはもっと辛い思いをしている人はいる』だとか『そんなことで死にたくなってたら命がいくつあっても足りないぞ』だとか言われたもんね。もう耳タコだよ。これは私にとって大大大問題なの!」

 辛いことは今までいくらでもあったが、こんなに辛いのは初めてなんだ。
 私が一番不幸なんですというつもりはないけれど、これははっきりと分かる。
 神様は乗り越えられる試練しか与えない、なんて言葉は嘘だと。

 自殺する人間が絶えないということは、乗り越えられなかったということじゃないか。
 私だってこんな試練、乗り越えられないよ、耐えられないよ。

「学校なんて狭い世界だ。相手なんていくらでもいるさ」

 そう諭すように死神に言われ、私はふと思う。
 学校のことも知っているなんてやたら人間界に詳しいじゃない。そこまで知ってるのって、親しい人間がいるからじゃないかな。

「ねぇ死神って、人間と付き合ったことある?」
「人間なんて興味ねーよ! 何聞いてくんだ、ガキのくせにっ」

 一蹴するように言う死神。ガキと言われ私はカチーンときた。
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