ながい、愛。
「俺も…会いたいって思ってた、から。すげー…嬉しかった」
「んー!素直でよろしい!恵夢、好き!大好き!」
すりすりと抱き付かれたまま、頬に擦り寄らせて、否応なしに身体が熱くなる。
「ちょ…と待って。苦しい、早貴…っ」
「あ、ごめーん。あまりにも恵夢と会えたのが嬉しくて、テンション爆上がり」
そんな可愛い顔をして見つめられると、身動きが取れなくなる。
俺は、やっぱりさっき送ってしまった「逢いたい」というメールに、深く後悔をしてしまった。
『愛しい』という想いに溺れてしまうから……。
そうしていると、早貴が俺の左耳をきゅっと引っ張って、ふーっと息を吹き付けてくる。
「……ねーぇ?恵夢!恵夢!何考えてんのー?」
「……っ。あ、の、っ……の、こと…」
「はーい?聞こえないよー?」
「さ、早貴のことだよ…っ。俺の頭ん中はいっつも早貴のことでいっぱいだから…って、ちょ…っ」
自分の気持ちを全部吐き出す前に、早貴にソファーへと押し倒されて、そのまま口唇の端にキスをされる。
右に、一回。
左に、二回。
ちゅ、ちゅ、と角度を変えて降りてくるキスに、否応なしに翻弄される、俺。
「や…あ、の…っさ、早貴?!」
どんどん迫ってくる早貴。
異性に上から見下されるなんて、恥ずかしい気持ちと、早貴だからこそ嬉しくてドキドキする気持ち。
そんな俺の葛藤を知らない早貴は、ぺろり、と自分の舌を湿らせると、妖艶に微笑んで囁く。
「好き、だよ?恵夢?」
あぁ、駄目だ。
こんな風に名前を切なげに呼ばれたら………。
堕ちてしまう…。
「早貴…俺からもキス、させて?」
「まだだぁめ。だって私がしたいから」
小悪魔全開の早貴に、おたおたするだけの俺。
情けないとは思うけれども、こういうスイッチが入ってしまった早貴には敵わないから。
俺はもう一度、両手を上げて降参をした。