ながい、愛。


「俺も…会いたいって思ってた、から。すげー…嬉しかった」

「んー!素直でよろしい!恵夢、好き!大好き!」


すりすりと抱き付かれたまま、頬に擦り寄らせて、否応なしに身体が熱くなる。


「ちょ…と待って。苦しい、早貴…っ」

「あ、ごめーん。あまりにも恵夢と会えたのが嬉しくて、テンション爆上がり」


そんな可愛い顔をして見つめられると、身動きが取れなくなる。
俺は、やっぱりさっき送ってしまった「逢いたい」というメールに、深く後悔をしてしまった。


『愛しい』という想いに溺れてしまうから……。
そうしていると、早貴が俺の左耳をきゅっと引っ張って、ふーっと息を吹き付けてくる。

「……ねーぇ?恵夢!恵夢!何考えてんのー?」

「……っ。あ、の、っ……の、こと…」

「はーい?聞こえないよー?」

「さ、早貴のことだよ…っ。俺の頭ん中はいっつも早貴のことでいっぱいだから…って、ちょ…っ」

自分の気持ちを全部吐き出す前に、早貴にソファーへと押し倒されて、そのまま口唇の端にキスをされる。

右に、一回。
左に、二回。

ちゅ、ちゅ、と角度を変えて降りてくるキスに、否応なしに翻弄される、俺。

「や…あ、の…っさ、早貴?!」

どんどん迫ってくる早貴。
異性に上から見下されるなんて、恥ずかしい気持ちと、早貴だからこそ嬉しくてドキドキする気持ち。

そんな俺の葛藤を知らない早貴は、ぺろり、と自分の舌を湿らせると、妖艶に微笑んで囁く。

「好き、だよ?恵夢?」

あぁ、駄目だ。
こんな風に名前を切なげに呼ばれたら………。


堕ちてしまう…。



「早貴…俺からもキス、させて?」

「まだだぁめ。だって私がしたいから」


小悪魔全開の早貴に、おたおたするだけの俺。

情けないとは思うけれども、こういうスイッチが入ってしまった早貴には敵わないから。


俺はもう一度、両手を上げて降参をした。


< 5 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop