まぶたにキスして
「あの……」
「誰かと思えば、キミあれじゃん、津三木のストーカー」
「……っ」
ま、まさかこんな人にも認知されていたとは。
はっきり違うとは言えない立場なのが悔しくて口籠もってしまう。
と、とっとと帰ろう。
「えっと、なんの話をしてるのか……では、私はこれで……」
さっき彼を睨んでいた目を細めて無理矢理笑顔に変えてこの場を離れようとした瞬間だった。
「ちょっと待てよ」
彼の低い声が耳に届いて、さっきまで道永さんの腕を強引に掴んでいた手が私の手首を捕まえる。
ま、まずい。
「お前こそ、津三木にしつこく付きまとってんじゃん。ブーメランすぎんだろ」
「私は違っ──」
「自分のこと棚に上げてよく人のこと言えるよな」
「……っ」
グッと彼の顔が近寄ってくるから思わず顔を背けて、掴まれた手首の拳を握る。