まぶたにキスして

「いやだから微熱。自分でもちょっとぼーっとすんなって思うぐらいでどうってことないから」

「でも、熱は熱だよ!安静にしてなきゃ!これは私が片付けておくから!」

こんなところで突っ立っている場合じゃないよ!今すぐ横にならなきゃ!

「ちょっとすみません、お邪魔しますっ」

「あ、ちょ、音桜っ」

名前を呼ぶ灯くんにお構いなしに私は久しぶりに津三木家と足を踏み入れた。

懐かしい香りにほっこりしながら、とりあえず灯くんにソファに座るよう促すと、言う通り腰を下ろしてくれた。

久しぶりに入る津三木家だけど、家具の配置はほとんど変わっていなくて、スムーズにキッチンの野菜置き場に持ってきた野菜を片付けることができた。
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