まぶたにキスして

そういえば灯くん、昔からよく熱出すタイプだったっけ。

逆に私は全然風邪なんて引かなくて。バカは風邪引かないって言うけどあれ本当かもしれないとつくづく感じる。

「おばさんたちは?」

「仕事。今日はふたりとも遅くなるって」

「そっか。昔はおばさんたちの帰りが遅いと、灯くんよくうちでご飯食べてたもんね」

「ん……」

なんて小さく答える灯くんに、今だっていつでも来てくれてもいいんだよと思う。

って、そんなことよりも!

「灯くん、早く部屋に行こう!とりあえずちょっと寝なきゃ」

安静にしてなきゃ、さらに熱が上がってしまうかもしれない。

「え、ちょっ」

ソファに座っていた灯くんの腕を掴み、立ち上がらせて彼の手を取りながら、私は2階の階段に上って灯くんの部屋へ向かう。

小さい頃、しょっちゅう来ていたこの家の間取りは完全に把握済みだけど、あの頃に比べて自分の背丈が伸びた分、

当時すごく広く大きく見えていた階段が少し小さくなったように感じる。

階段を上って右側にあるドア。

ガチャッと扉を開けてネイビーを基調とした部屋に入ってからすぐに灯くんをベッドに座らせた。
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