まぶたにキスして
昔よりも部屋の雰囲気が大人っぽくなっていることに、ちょっとドキッとしてしまう。
って今はそんなこと考えている場合じゃなくて!
「今、ママに言って何か食べられるもの持って来てもら……っ?!」
そう言って急いで部屋を出ようとドアの方を振り返った瞬間、突然灯くんが私の手首を捕まえたので足が止まった。
「灯、くん?」
「……まだやんの?看病ごっこ。音桜、好きだったもんね。昔から」
熱のせいで若干潤んだ瞳でまっすぐ私を見つめてそういうので、途端に心拍数が上がる。
「ご、ごっこって、本物の看病だよっ」
「微熱って言った。大したことない」
「でも灯くん、体熱いし、さっきよりも絶対熱上がってるよ!」
「……それは……音桜のせい」
「え……」
「音桜が部屋にいるから」
な、もしかして私、うるさくしすぎた?!
「ご、ごめんなさーーっ」
頭を下げて謝ろうとしたら、掴まれていた手首がまたいきなり引かれて。
フワッと柔らかな感触が私の背中に触れた。
これって……。