まぶたにキスして
区域の事情で、小学校で仲の良かった友達が一人もいない中学に入学した俺は、新しい環境にとにかく早く馴染もうと余裕が全然なくて必死で。
中学生にもなれば、ほとんどが同い年の女の子に夢中。
そんな中、自分は2個年下の幼なじみを恋愛対象として見ている。
そのことを、やっと出来た友達にバレたくなかった。
だから……。
『知らない』
とだけ呟いて、音桜に、
『……もう来ないで』
それだけ吐いて彼女を冷たくあしらった。
昔なら毎日一緒に学校に行っていたから嫌でも顔を合わせなきゃならなかったけど。
通学する学校の場所が変わると、自然と顔を合わせる機会は減っていて。
本当はすぐに謝らないといけないのに。
音桜に許してもらえるのか、今度は俺のほうが拒絶されたら、と思うと怖くて、
ずるずる先延ばしにしていくうちに完全にタイミングを逃してしまっていた。
それから2年後。