まぶたにキスして

「……うっ、私も好きっ、灯くんが好きっ!!大好きっ!!」

と思わず首に抱きついてしまう。

「ん。わかったから。苦しい離して」

「あっ、ごめんっ」

と謝りながら、あまりの幸福感にニヤニヤしてしまう。

「……私たち、最初からずっと両思いだったんだね」

「音桜は違うじゃん。最初、晴之くんのこと好きだったし。中学の頃、付き合ってたんじゃないの?」

灯くんの口から、久々に聞く名前が発せられる。しかも、付き合ってたって……なにそれ。

「つ、付き合ってないよ!!」

「噂になってたじゃん。中学の頃」

疎遠になっていた中学時代も、灯くんが私の名前に反応して気にしてくれたんだと思うとニヤけそうになる。

「こ、告白、されたけど、私からお断りしたよ。灯くんのこと好きだったから」

「……えっ、まじ?」

「うん」

そう答えると、灯くんが口元を手で隠して私から目を晒す。

晴之くんは、小1の頃、私のことを振ったのを忘れて平然と「可愛くなったよね」なんて言って告白してきたけど。

私はこれっぽっちも彼にときめかなかった。
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