まぶたにキスして

けど、彼は中学に上がってから、なぜか私と距離を置くようになった。

そりゃ、うちの区域の中学校と小学校は真逆にあるから、登下校も一緒にできなくなるのは当然のことだけど。

学年は違うけど、幼稚園から小学生まではずっと遊んでいたのに、突然私に会いに来なくなったから何か原因があったのなら教えて欲しいし、

もしできるのなら仲直りして昔みたいに話せるようになりたい。

「てか音桜、本当にあの津三木先輩と幼なじみなわけ?」

「それ私も思ってた。4月からずーっと声かけてるけど、先輩、マジで音桜のこと鬱陶しそうじゃん」

「本当に覚えてないか、音桜の妄想でしょ」

うっ……妄想って……。

辛辣すぎやしませんか、友達だって言うのに。

「ひ、ひどいよみんな!友達の言うセリフとは思えないっ!」

「バカ。友達だからだよ。音桜、せっかく可愛いのに先輩追いかけることしかしてないからもったいないなって」

と言って佳菜子が学食のオムライスを一口食べる。
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