まぶたにキスして
「どうする?!」
「ふたりのことだし、うちらがどうすることも……って音桜?!」
佳菜子の声に、教室のドアに向かっていた足を止めて振り返る。
「助けなきゃ、道永さんのこと!」
「いや、助けるって、どうやって!」
「わかんないけど!!」
そう返して急いで教室を飛び出す。
道永さんと元カレさん、ふたりの問題だとしても、あんな風に力付くで乱暴なやり方はダメだと思うから。
普段、走ってはいけないと注意されている廊下や階段を全力疾走。
幸い、放課後だから人通りが少なくて、あっという間に昇降口についた。
靴を履き替えずに中庭に飛びだして道永さんのいた方へ向かえば、まだ男の人に手を掴まれたまま必死に彼の手を振り解こうとしている彼女がいた。
「その手離して!!」
「……はぁ?」
私の声に少し肩をびくつかせた男の人が振り向いた。
その隙にふたりの間へと入って、一瞬緩んだ彼の手から道永さんの腕を離した。