花吹雪~夜蝶恋愛録~
2日間、仕事を休み、3日目の昼にナオキに電話した。
そして会うことを約束する。
場所は、『PRECIOUS』ではなく、近くのファミレスだ。
「お前、一体、何なんだよ。急に帰ってから連絡つかなくなったと思ったら、いきなり電話してきてこんなとこに呼び出して」
私服でも、昼間に見ても、たとえ怒った顔をしていても、やっぱりナオキは世界で一番かっこいい男だと思う。
「うん、ごめんね。でもひとりで色々考えたくてさ」
「それで俺に連絡してきたってことは、やっと腹を決めたってこと?」
ナオキは急に本題に入る。
セナなんかを相手に、無駄話をする気はないのだろう。
そういう冷たいところも好きだった。
「ねぇ、ナオキはあたしのことが本気で好きなんだよね?」
真っ直ぐな目で問うたセナに、ナオキは一瞬、言葉に躊躇した。
悲しいけれど、それが答えだと思った。
「あたし、風俗には行かない」
「は? じゃあ、金どうすんだよ」
眉根を寄せたナオキの前に、茶封筒を差し出す。
「何?」
「未収分、全額入ってる」
ナオキは怪訝に眉根を寄せて、目の前にあるそれの中身を確認した。
「あたしね、すごい考えたんだよ。でもどんなに考えても、好きな人のために好きじゃない人とエッチなことするなんてできないと思った。だから、風俗には行かない」