花吹雪~夜蝶恋愛録~
「あたしね、ナオキのことほんとに好きだったけど、でもそれ以上に、樹里ちゃんのこと大好きだったの。だからそんな樹里ちゃんに、もう心配とか迷惑とかかけたくないしさ」
『Rondo』に入ったばかりの頃、セナはまったく指名が取れなかった。
でもいつも樹里が気にかけてくれて、指名卓にヘルプで呼んでくれたりした。
そのおかげでフリーバックが取れ、セナは徐々に自信がついてきたのだ。
「ほら、あたしってこの通り、甘ったれだからさ、いっつも樹里ちゃんに悩みを聞いてもらったりしてたの。でもそんなんばっかで、思い返してみたら、あたしは樹里ちゃんの悩みなんかひとつも聞いたことなかったなって」
「………」
「それどころか、あたしは樹里ちゃんの本名すらも知らなくてさ。ナオキと仲悪かったことも、全然知らなかったことが、すごく恥ずかしくて。こんなの『友達』って言えないでしょ? だからこそ、今回のことだけは樹里ちゃんには頼らずにちゃんとしたかったっていうか」
話しているうちに、どんどん名残惜しい気持ちになってくる。
でももうナオキとは二度と会わないと決めたのだから、ここでさよならしなきゃいけない。
意を決し、セナは席を立った。
「えっと、とにかくお金は返したし、あたしはこれで」
『Rondo』に入ったばかりの頃、セナはまったく指名が取れなかった。
でもいつも樹里が気にかけてくれて、指名卓にヘルプで呼んでくれたりした。
そのおかげでフリーバックが取れ、セナは徐々に自信がついてきたのだ。
「ほら、あたしってこの通り、甘ったれだからさ、いっつも樹里ちゃんに悩みを聞いてもらったりしてたの。でもそんなんばっかで、思い返してみたら、あたしは樹里ちゃんの悩みなんかひとつも聞いたことなかったなって」
「………」
「それどころか、あたしは樹里ちゃんの本名すらも知らなくてさ。ナオキと仲悪かったことも、全然知らなかったことが、すごく恥ずかしくて。こんなの『友達』って言えないでしょ? だからこそ、今回のことだけは樹里ちゃんには頼らずにちゃんとしたかったっていうか」
話しているうちに、どんどん名残惜しい気持ちになってくる。
でももうナオキとは二度と会わないと決めたのだから、ここでさよならしなきゃいけない。
意を決し、セナは席を立った。
「えっと、とにかくお金は返したし、あたしはこれで」