花吹雪~夜蝶恋愛録~
部屋に入った瞬間、玄関ドアが閉まるより先に引き寄せられ、唇を奪われた。
そのままもつれるままにベッドになだれ込む。
「ごめん、優しくできる余裕ない」
いつも冷静で落ち着いている高槻は、驚くほど性急に彩を求める。
脱ぐ余裕すらなかった靴が床に転がり、しかしそちらに気を取られる間もなく高槻が入ってきた。
泣いているのか鳴いているのか、自分でもわからなかった。
痛いほど強く深く突かれ、頭の芯まで痺れる。
手も、目も、唇も、彩の想像以上に熱かった。
でも高槻に溶かされるなら、これ以上ない幸せだろう。
ずっとずっと、この男が欲しかったのだと、今はっきりとわかった。
「ねぇ、好きなの」
高槻の背に腕をまわして縋り付き、彩はあえぐように言う。
「ずっとずっと好きだったの」
こんな感情は初めてだった。
そもそも自分が人を愛するような人間だとも思わなかった。
渇いた心が濡れて、満たされていく感覚に酔いながら、彩が果てを見たと同時に、高槻も彩の中に白濁とした欲望を吐き出した。