花吹雪～夜蝶恋愛録～
指名が１本もないのは私だけ。

私だけが出来損ないで、この店のお荷物なのだ、と。


次第に、ヘルプすら上手くやれている気がしなくなって、元々ほとんどなかった自信はすっかり喪失してしまった。


このままじゃあ、店長に見限られて、クビにされてしまう。

店長はいつも何を考えているのかわからない顔で、「頑張れよ」としか言ってくれず、どうすればいいのかなど教えてはくれなかった。



人に教えを請うてどうにかなることではないのかもしれないと美咲は思い直し、自分なりに、他のキャストたちの仕草や話し方を真似てみたりもした。

しかし、やっぱり場内にすら結びつかない。


とにかく原因がわからなかった。


自分で言うのも何だが、決して人に笑われるような見た目じゃないし、話しにくいとか暗いとか言われたこともない。

なのに、美咲より大柄だったり、物静かで言葉数が少なかったりなのに、たくさん指名をもらっているキャストがいたりするので、歯噛みする思いだったのだ。



次第に、どうして私はこんなところにいるのだろうかと思うようになってきた。

やっぱり、祖母の言い付けに従って、普通の仕事につけばよかったのかもしれない、と。


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