花吹雪~夜蝶恋愛録~
「お前、入ってどれくらいだ?」
「1ヶ月半くらいです」
「そんなんで、もう向いてないとか決めつけているのか?」
「そりゃあ、だって、指名がまったく取れなければ、そう思いたくもなりますよ」
「辞めるのか?」
「どうなんでしょう。クビにされる方が先かもしれませんね」
おどけたように言った。
豊原は困った子供でも見るような目で、「よくわからんやつだな」と言う。
美咲にとっては豊原の方が『よくわからんやつ』だったが、何だかおもしろかったから、それはそれでいいのではないかと思っておくことにした。
「じゃあ、どうしてこの仕事を?」
興味本位なのか、豊原の追究が続く。
「んー。特に理由があったわけじゃないんですけど、何となく。お金いっぱいもらえそうだなとか、美味しいものいっぱい食べられそうだなとか」
本当はそれだけではなかったが、さすがにどうでもいいからって自分のすべてを話すほどのバカではない。
ふと脳裏をよぎった過去の残像を振り払う。
「きっと、私、ナメてたんです、この仕事。どの仕事もそうなんでしょうけど、楽して稼げるなんてありえないのに、やればできるだろうと思ってた」
「そうだな。客の前での態度もナメているしな」
「1ヶ月半くらいです」
「そんなんで、もう向いてないとか決めつけているのか?」
「そりゃあ、だって、指名がまったく取れなければ、そう思いたくもなりますよ」
「辞めるのか?」
「どうなんでしょう。クビにされる方が先かもしれませんね」
おどけたように言った。
豊原は困った子供でも見るような目で、「よくわからんやつだな」と言う。
美咲にとっては豊原の方が『よくわからんやつ』だったが、何だかおもしろかったから、それはそれでいいのではないかと思っておくことにした。
「じゃあ、どうしてこの仕事を?」
興味本位なのか、豊原の追究が続く。
「んー。特に理由があったわけじゃないんですけど、何となく。お金いっぱいもらえそうだなとか、美味しいものいっぱい食べられそうだなとか」
本当はそれだけではなかったが、さすがにどうでもいいからって自分のすべてを話すほどのバカではない。
ふと脳裏をよぎった過去の残像を振り払う。
「きっと、私、ナメてたんです、この仕事。どの仕事もそうなんでしょうけど、楽して稼げるなんてありえないのに、やればできるだろうと思ってた」
「そうだな。客の前での態度もナメているしな」