花吹雪~夜蝶恋愛録~
「ねぇ、ナオキ。あたしのこと好き?」

「好きだよ」

「愛してる?」

「愛してる」

「一番?」

「一番、特別」


腕をまわして肩を引かれ、耳元でささやかれた。



仕事のストレスなど、一瞬にして吹き飛ぶのがわかる。

と、同時に、今、この瞬間、ナオキはあたしだけを見てくれているのだと、ひどい幸福の中、優越に浸ってしまう。


セナはナオキの体に身を預けた。



「うふふ。今日は高いの入れちゃおっかな」

「マジで?」

「マジで。給料もらったばっかだし、余裕、余裕」


甘えるように抱き付くと、ナオキはセナの頭を撫でてくれた。


ナオキが喜んでくれている。

ならもうそれだけでいいと、セナはいつも思ってしまう。



「タワーとかやっちゃう?」

「やっちゃうか」

「やっちゃおうよ!」


それからすぐに、ナオキの注文により、うず高くグラスの詰まれたシャンパンタワーが目の前に運ばれてきた。


たくさんのホストからのコール。

他の客からの嫉妬や羨望の視線。



ナオキはそんな中、悠々と煙草の煙を吐き出しながら、



「やっぱり最高だな、セナは」


と、目を細めて笑った。


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