花吹雪~夜蝶恋愛録~
セナが怒っていると思ったら、勝手に家にやってきて、心にもない言葉で謝罪して、ご機嫌取り。

ナオキは、いつもいつも、こうなのだ。


悔しくて、でもやっぱり惚れた弱味には勝てない。



「ねぇ、ナオキ。あたしだけは特別なんだよね?」

「当たり前」


顔色ひとつ変えないナオキに腕を引かれ、抱き寄せられた。


バカなあたし。

だけど、信じていれば幸せを感じていられるから。



唇が触れて、ベッドに倒された。

何も感じていないみたいな目のナオキの愛撫に、セナは声を上げてしまう。



ねぇ、どうせ他の女ともヤッてんでしょ?

客を繋ぐためならセックスなんて仕事のうちとしか思ってないんでしょ?


あたしのことなんてほんとは何とも思ってないくせに。



頭の片隅では、もうひとりの自分が憎らしい言葉を吐いていたが、でも結局は、ナオキに身を委ねてしまうのだ。




嘘でもいいから愛されていたかった。


セナにとってはナオキの存在だけが救いだったのだ。

ナオキがいるから頑張れる。




あたし、バカすぎて笑えるよね。


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