花吹雪~夜蝶恋愛録~
「あんた、ここで何やってんの?」
「俺は買い出しです」
陸が右手に持つコンビニ袋の中には、数々の銘柄の煙草があった。
「パシられてんじゃん」
「はい。新人なんで」
律儀にも答えた陸だったが、次にははっとしたように、「いや、俺のことはどうでもよくて」と、話を戻す。
「セナさんこそどうしたんですか?」
「別にどうもしてないし」
自分が泣いていたのだと今更になって思い出したセナは、鼻をすすり、涙を拭って、バツの悪さから目を逸らした。
が、陸がそんな返答に納得してくれるはずもない。
「泣いてるなんてただごとじゃないですよ」
「………」
「それだけ喋れるってことは、どこか痛いわけじゃなさそうだし。ってことは、店で何かあったってことですよね?」
「………」
「ナオキさんと、何かあったんですか?」
犬のくせに。
もっとバカな男なのかと思っていたが、陸はなかなか鋭いところがあるらしい。
言い当てられ、言葉に窮するセナ。
そんなセナを見て、陸は肩をすくめて隣で同じようにしゃがんだ。
「ひどいですよねぇ、ナオキさん。こんなに自分を想ってくれる人を大切にできないなんて、きっといつかバチが当たりますよ」
「俺は買い出しです」
陸が右手に持つコンビニ袋の中には、数々の銘柄の煙草があった。
「パシられてんじゃん」
「はい。新人なんで」
律儀にも答えた陸だったが、次にははっとしたように、「いや、俺のことはどうでもよくて」と、話を戻す。
「セナさんこそどうしたんですか?」
「別にどうもしてないし」
自分が泣いていたのだと今更になって思い出したセナは、鼻をすすり、涙を拭って、バツの悪さから目を逸らした。
が、陸がそんな返答に納得してくれるはずもない。
「泣いてるなんてただごとじゃないですよ」
「………」
「それだけ喋れるってことは、どこか痛いわけじゃなさそうだし。ってことは、店で何かあったってことですよね?」
「………」
「ナオキさんと、何かあったんですか?」
犬のくせに。
もっとバカな男なのかと思っていたが、陸はなかなか鋭いところがあるらしい。
言い当てられ、言葉に窮するセナ。
そんなセナを見て、陸は肩をすくめて隣で同じようにしゃがんだ。
「ひどいですよねぇ、ナオキさん。こんなに自分を想ってくれる人を大切にできないなんて、きっといつかバチが当たりますよ」