君との想い出が風に乗って消えても



 全くない。
 そんなつもりは。

 けれど……。

 これじゃあ……。
 これじゃあ、まるで加恋ちゃんに意地悪をしているみたいだ。


 でも。
 加恋ちゃんに訊かずにはいられなくなる。

 もう今年になっちゃったから。

 加恋ちゃんが言っていた『いなくなる』という時期に近づいてきてしまっているから。

 そのことが。
 不安で。
 不安で不安で、たまらないから。

 だから。
 探りたくなる。
 加恋ちゃんのことを。

 これから先も。
 加恋ちゃんは、ずっとずっと僕のところにいてくれるかを。

 わざわざ言葉では言わないけれど。
『加恋ちゃんは、これから先もずっとずっと僕と一緒にいてくれるよね』
 と念を押したくなる。


 ……加恋ちゃん……。

 どうして黙ってるの……?

 確かに『まだ決めてなかったら言わなくていい』とは言ったけれど……。


 本当は聞きたいよ。

 加恋ちゃんの口から。

 加恋ちゃんの言葉で。

 ずっとずっと僕のそばにいる……って……。


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