君との想い出が風に乗って消えても



 僕と加恋ちゃんの間に沈黙が続いて少し気まずくなっているとき。
 店員さんが、注文したココアとオレンジジュースを持ってきてくれた。

 そのおかげで、僕と加恋ちゃんの間に流れていた気まずい空気が少しだけ和らいだ。

 僕は店員さんのタイミングに感謝した。


 僕と加恋ちゃんは、それぞれが注文した飲み物を飲み始めた。


「あっ、このココアすごく美味しい」


 まずは僕が口を開いた。


「このオレンジジュースもすごく美味しい」


 加恋ちゃんもそう言って少し笑顔が戻った。


 やっぱり。

 やっぱり加恋ちゃんの笑顔は最高だ。

 まだ完全に笑顔が戻ったわけではないけれど。
 それでも、やっぱり加恋ちゃんの笑顔は最強。


 加恋ちゃんの辛そうにしている顔を見るのは辛い。

 加恋ちゃんの悲しい顔を見るのは悲しい。


 加恋ちゃんには、いつも笑顔でいてほしい。

 加恋ちゃんには、いつも心から笑っていてほしい。

 それが僕にとって幸せなことだから。


 僕と加恋ちゃんは、飲み物を飲み始めてからは、少しずつだけど会話が進むようになり、三十分後には普通に話すことができていた。


 しばらくして僕と加恋ちゃんはカフェを出た。


 僕と加恋ちゃんは、ゆっくりと歩いている。

 穏やかに流れていく時間。

 そのとき僕は、街中を歩いている周りの人たちの雰囲気を感じていた。

 仲良く歩いている家族連れ。
 仲睦まじく歩いているカップル。
 楽しそうにしている仲間たち。

 みんな幸せそう。
 みんな楽しそう。

 僕と加恋ちゃんも……。

 街の中にいる人たちから見て。
 僕と加恋ちゃんも、その中の一組なのかな……?

 そう見えてるといいな……。







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