君との想い出が風に乗って消えても



「……そろそろ時間みたい……」


 ……え……⁉


「じゃあ、優くん、
 今までたくさんの想い出と幸せをくれて本当にありがとう」


 ……加恋ちゃん……‼


「……でも……最後に一つだけ……」


 ……‼


 ……加恋ちゃん……。


 加恋ちゃんは僕にそっとやさしくあたたかな……キス……を……。


 そして加恋ちゃんは僕からそっと離れて……。


 いつものように天使のような笑顔を見せた。


「……本当にありがとう、優くん……」


 ……待って……‼

 待って‼ 加恋ちゃん……‼


 加恋ちゃん……‼



 ……っ‼


 ……なっ……なにこれ……⁉


 ……風……⁉


 ……風が……強い……‼


 僕と加恋ちゃんの間にとても強い風が吹いた。


 そのあまりにも強すぎる風のせいで目を開けることができない。


 それでも必死に目を開けようとした。


 そしてようやく少しだけ目を開けることができた。


 目を細めて前を見たとき。

 そこに見えた景色は……。


 ものすごく強く吹く風。

 そして……。

 加恋ちゃんの姿……。


 でも……。

 加恋ちゃんは……。

 加恋ちゃんが……透き通って見えた……。


『優くん……』


 ……加恋……ちゃん……。


 ……行かないで……。


 行かないで……加恋ちゃん……‼


『ありがとう』


『ありがとう』なんて言わなくていいから……‼


 戻ってきて……加恋ちゃん……‼


『優くん……』


 嫌だ……‼

 嫌だよ……‼


 僕をおいて行かないで……‼


『楽しかったよ』


 僕も連れていって……‼


『優くん……』


 加恋ちゃん……‼


 僕も一緒に……‼


『幸せだったよ』


 僕は、ずっとずっと一緒に加恋ちゃんといたいよ……‼


『優くん……』


 加恋ちゃん……‼


『大好きだよ、優くん』


 …………。


「加恋‼」







  。.・.*.・.。・.*.・.。.・.*.・.。.・.











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